ワクチンには、ウイルスそのものを使った従来型ワクチンと、ウイルスの遺伝情報の一部だけを体内に入れる遺伝子ワクチンがある。モデルナのワクチンは、遺伝子ワクチンの一つである「核酸ワクチン」だ。遺伝情報からたんぱく質をつくるのに重要な役割を果たす「メッセンジャーRNA」を投与し、ウイルスと戦う抗体を生成させて免疫反応を起こす。初期の臨床試験で被験者45人全員の抗体獲得に成功している。 免疫にはそもそも、ワクチン接種や過去の感染によって体内でつくられる抗体がウイルスを排除する「液性免疫」と、免疫細胞のキラーT細胞やマクロファージが病原体に感染した細胞を直接攻撃する「細胞性免疫」がある。 ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が解説する。 「モデルナの核酸ワクチンは、液性免疫と細胞性免疫の両方を高めることがデータから示唆されています。(液性免疫の主役の)抗体が細胞に敵が侵入する前に打ち落とす“ミサイル”のような役割なら、細胞性免疫は細胞に侵入した敵を近距離銃撃で細胞ごとやっつけるのが任務。この二段構えで感染を防御するので非常に有効です。スウェーデンのカロリンスカ研究所の報告によると、抗体ができていない人でも細胞性免疫が新型コロナの感染を防御する可能性があることがわかりました。モデルナのワクチンは、この細胞性免疫を活性化する作用がありそうなので期待が持てます」 米国でも感染拡大が止まらない。米政府は100億ドル(約1兆700億円)をかけて「ワープスピード作戦」と名付けたワクチン開発計画を進めている。有望だと判断すれば、国内外のワクチン開発を資金援助し、正式な承認前でも企業の製造態勢をバックアップする構えだ。
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2020-07-27 23:00:00Z
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