ウォール街の金言の一つに「米連邦準備制度理事会(FRB)と争うな」というものがあるが、トレーダーは現在、まさにFRBと争う行動をしており、これが米株式市場の忘れられた一角の上昇を引き起こす可能性がある。
米金融当局の予測や当局者のコメントは極めて明確だ。政策金利がより長くより高い水準にとどまる可能性があると警告しており、最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で当局者は中央値で年内1回の利下げ見通しを示した。
しかし、利下げで恩恵を受ける株式にはなお資金が流入している。EPFRグローバルとバンク・オブ・アメリカ(BofA)がまとめたデータによると、先週のテクノロジーセクターへの資金流入は21億ドル(約3310億円)と、3月以来最大となった。
GLOBALTインベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、キース・ブキャナン氏は「市場はインフレや労働市場のデータから判断すると年内複数回の利下げ余地はないとの見通しに納得していない」と指摘。「その頑固さが、リスク資産にとって有利な環境を維持している」と説明した。
金融当局者の今年の利下げ回数予想の引き下げや、パウエルFRB議長の12日の記者会見でのタカ派的コメントにもかかわらず、S&P500種株価指数は12日に初めて5400の節目を超え、少なくとも14日まで5400台を維持した。2022年10月の安値からの上昇率は50%を超えている。
投資家にとって今問題なのはFRBがこの先、利下げを決定した場合に市場がどうなるかということだ。
歴史的に見ると、現在のサイクルのようにリセッション(景気後退)が発端でないサイクルにおいて利下げは株価の力強い伸びをもたらす重要な転換点となってきた。BofAとEPFRグローバルの最新の資金フローデータで金融株と素材株、公益事業株に資金が流入しているのはこのためだ。経済との結び付きが強いこれらのセクターは力強い経済成長が続く限り金利引き下げの恩恵を受けてきた。
アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」は4-6月(第2四半期)の実質国内総生産(GDP)伸び率が年率3.1%と、前四半期の同1.3%から加速すると推定しており、堅調な米経済成長が続くというのが大方の見方だ。
BMOファミリー・オフィスのキャロル・シュライフ最高投資責任者(CIO)は景気がかなり減速する「バンピーランディングとなる兆候は今のところほとんど見られない」と述べた。
テクノロジー株に追い風
ファンドマネージャーもテクノロジー株へのエクスポージャーを増やしている。大手ハイテク株の比重が大きいナスダック100指数は今年に入って17%上げている。ブルームバーグ集計データによると、S&P500種の時価総額上位7位の銘柄株価収益率(PER)は平均36倍と、ベンチマークの22倍を上回っている。
ドイツ銀行がまとめた6月14日終了週のデータによると、株式ポジションの総額はナスダック100がピークに達した21年11月以来の水準に達している。
既定のガイドラインやアルゴリズムに基づいて投資判断を下すルールベースの投資家や裁量投資家が今週の急騰をけん引した。テクノロジーセクターのほか、公益事業や生活必需品、不動産といった金利の影響に敏感なセクターのポジションも大幅に増加した。
USバンク・ウェルス・マネジメントのチーフ株式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏はFRBが明確なハト派スタンスを採用した場合、生活必需品や不動産など、配当が安定したディフェンシブ銘柄の魅力も増すだろうと指摘した。
6月は通常、夏に向けて出来高が減り市場が落ち着く時期だが、来週は個別株および株価指数のオプションの満期と指数先物の期限が重なる四半期に一度の「トリプルウィッチング」を迎えることから短期的にポジショニングが混乱する可能性がある。
原題:The Market Is Blowing Off What the Fed Is Saying About Rates(抜粋)
https://news.google.com/rss/articles/CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjQtMDYtMTYvU0Y1TFpXVDBBRkI0MDDSAQA?oc=5
2024-06-16 06:26:29Z
CBMiQ2h0dHBzOi8vd3d3LmJsb29tYmVyZy5jby5qcC9uZXdzL2FydGljbGVzLzIwMjQtMDYtMTYvU0Y1TFpXVDBBRkI0MDDSAQA
Tidak ada komentar:
Posting Komentar