自動車大手の2019年4~6月期の連結決算が5日出そろい、7社のうち5社の連結純利益が前年同期比で減った。新興国景気の減速でインドや中国、東南アジアなどで販売が減速した。外国為替相場での対円での新興国通貨安も逆風になった。20年3月期は5社が最終増益を見込む。だが米中貿易摩擦など不透明感は強く、業績が下振れする懸念はくすぶる。
純利益が減った5社は日産自動車が94%減、マツダが75%減、ホンダも29%減と、いずれも大幅な減益となった。増益となったトヨタ自動車とSUBARUの2社はいずれも北米で多目的スポーツ車(SUV)やピックアップトラックなど大型車が好調だった。
スズキが5日発表した19年4~6月期決算は連結純利益が53%減の405億円だった。四輪車の世界販売は14%減の73万台で、なかでも経済の減速で消費者心理が冷え込んだインドは20%減の37万台と大きく落ち込んだ。決算会見で長尾正彦取締役は「インドの景気は悪い。明るい材料がなかなか見つからない」と厳しい認識を示した。
四輪車販売はパキスタンやインドネシアも2ケタ減で、連結売上高は8%減の9075億円となった。インドで増強投資に伴って減価償却費が増えたほか、ハイブリッドや運転支援など先進技術の研究開発費が増え、営業利益は46%減の626億円だった。
ホンダもインドで自動車販売が減り、純利益が29%減った一要因となった。倉石誠司副社長は「インドは政府の金融引き締めで消費者の購買意欲が弱い」と懸念する。
マツダの中国販売は21%減の5万4000台と苦戦した。「中国は4月以降に景気刺激策が出てきた後も、新車市場は冷え込んでいる」と梅下隆一執行役員の表情は厳しい。日産自動車は中南米や東南アジア、中近東など「その他地域」の販売が13%減の17万台だった。
新興国通貨安も各社の業績をむしばんだ。スズキは対円でインドルピーやパキスタンルピー、インドネシアルピアが下落したのが営業利益を30億円押し下げた。三菱自動車は豪ドル安、ロシアルーブル安が響いた。
純利益で過去最高益をたたき出したトヨタにも、余波は及んだ。豪ドルやロシアルーブル、ブラジルレアル、中国人民元などの通貨安が営業利益を300億円減らした。
20年3月期は日産と三菱自を除く5社が最終増益を見込む。4~6月期の遅れを取り戻すのが達成の条件となるが、先進技術の開発費がかさみ、たとえ車が売れてももうけが出にくい構造になっている。一方で米中摩擦による世界景気、円高圧力など懸念材料は目白押しだ。SUBARUの岡田稔明取締役は「為替や原材料価格などこの先の不確定要素は多い」と気を引き締める。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48224340V00C19A8DTC000/
2019-08-05 11:30:00Z
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