【ニューヨーク=後藤達也】14日の米国債市場で10年物国債の利回りが2年債利回りを約12年ぶりに下回った。長短金利の逆転(逆イールド)と呼ばれる珍しい現象で、将来の米景気後退を示唆するとされる。米中の貿易戦争で投資家は世界経済への懸念を強めているためだ。株式市場ではダウ工業株30種平均が一時前日比600ドル強下がる大幅安となっている。
14日早朝に米10年債は一時1.57%と約3年ぶりの低水準となり、米2年債(1.63%)と逆転した。1日に米国が中国への追加関税の発動を表明してから米国債に資金が向かい、10年債利回りは2週間で0.4%以上低下した。英国債も14日、10年債が0.4%台前半に下がり、2年債を下回った。
ダウ平均は14日午前11時すぎに前日比600ドル強安い2万5670ドル程度に値下がりした。長短金利の逆転を受け、リスク資産の株式を売る動きが強まった。
国債の利回りは通常、満期までの期間が長い方が金利は高くなる。将来の経済成長への期待や財政リスクが加味されるためだ。3カ月物の米国債利回りと10年債はすでに逆転していたが、景気との関連がより強いとされる2年債と10年債も逆イールドになった。過去には2000年や07年も同様の減少が起き、米国は後に景気後退となった。
グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)元議長は米ブルームバーグ通信の取材に「米国債利回りが0%を下回ることへの障壁はない」と述べた。欧州でも金利低下が加速していることを踏まえ「債券市場で国境を越えた裁定が働き、長期金利が下がっている」と指摘した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48570410U9A810C1000000/
2019-08-14 14:20:00Z
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