米国債投資家は欧州と中国からの悪いニュースに市場が振り回された後、用心深い目を海外に向けている。
先週はドイツと中国の弱い指標が世界的景気減速懸念をあおり、10年物米国債利回りが2年物を一時下回ったほか、30年債利回りは2%を割り込み過去最低を更新した。米国のインフレデータは堅調、小売売上高は予想を上回ったが、米国債市場は海外データの方に反応した。
プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は、米国債市場に見られる「パニック」の大きな部分は、景気見通しが悪化する中国と欧州から輸入されたものだと指摘。このため、今週のユーロ圏のインフレおよび製造業の指標を注視して、利回りがどちらに向かうかのヒントを得ようとしている。
「世界の経済指標が上向きトレンドをたどるのは難しいだろう。これが、特にロングエンドで債券利回りに下向き圧力をかけ続ける」とシャー氏は発言。「欧州や中国から強めのデータが出てくるまでは、世界を巡る懸念が米国を覆い続けるだろう」と述べた。
米10年債利回りは先週一時、2016年以来の1.5%割れとなった。BMOキャピタル・マーケッツによれば、過去最低の1.31%を下回るかどうかは世界の成長や貿易問題の展開によりけりだ。ストラテジストのイアン・リンジェン氏は16日のリポートで、「10年債利回りが過去最低を更新するかどうかはおおむねリスク資産のパフォーマンス次第だ。そして、リスク資産は世界的な逆風が和らぐ見通しが立つかどうかに左右される」と記した。
ただ、今週の米国のイベントの中で、ワイオミング州ジャクソンホールでの連邦準備制度の年次シンポジウムだけは見逃せない。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は23日にスピーチを行う。
原題:Bond Traders Hostage to Global Gloom Amid Imported ‘Panic’ Flows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-19/PWGVUC6JIJUO01
2019-08-19 05:46:00Z
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