日本の商社が、アフリカ農村部の無電化地域で、小型の自家用太陽光発電「ソーラーホームシステム(SHS)」事業への参入を活発化させている。日本勢は、電力不足といった社会課題解決を商売につなげる新潮流を足掛かりに、先行する中国や欧州勢へ巻き返しを図る姿勢だ。
丸紅は5月、英ベンチャーに約20億円を出資し、ケニアなどでの中間層向けに太陽光パネルや蓄電池、テレビ機器を割賦販売する事業へ参画した。
三井物産と住友商事は昨年、ケニアやウガンダを拠点とするSHS事業大手にそれぞれ出資。三菱商事はフランス電力公社と組み、コートジボワールを中心としたSHSのレンタル事業に乗り出した。
国連は持続可能な開発目標(SDGs)で、2030(令和12)年までにすべての人に電力を届ける目標を掲げた。達成には、発電所建設や送配電網の整備遅れなどで世界の無電化人口の半分以上を占めるとされる、アフリカでの問題解決が欠かせない。
また、アフリカの人口は、現在の約13億から、2050(令和32)年には25億になると予想され、将来的な市場として魅力は大きい。
アフリカに商機を見いだす動きは、ベンチャーでも旺盛だ。ワッシャ(東京都文京区)は、タンザニアで充電式発光ダイオード(LED)ライトを無料で貸し出し、使った分を電子決済する電力事業を手がける。シュークルキューブジャポン(東京都千代田区)は、太陽光の分散電源を出産などの医療現場で役立てようと、5月にセネガル保健省と覚書を結んだ。
日本企業の進出ラッシュの背景には、「課題だった資金回収が可能になった」(商社幹部)という、現地のビジネス環境の改善もある。スマートフォンの急速な普及で、電子マネー決済が普及し、銀行口座を持たない庶民も、お金をいれた分だけ電気や物品を購入できる仕組みが構築された。
日本植物燃料(神奈川県小田原市)は、モザンビークで、携帯電子マネー決済で肥料などを購入する電子版農協を本格展開する計画だ。
https://www.sankei.com/economy/news/190819/ecn1908190009-n1.html
2019-08-19 07:50:00Z
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