理化学研究所は30日、神戸市の拠点でスーパーコンピューター「京(けい)」の電源を停止してシャットダウンした。2012年に本格稼働し、一時は計算速度の性能ランキングで世界首位に輝いた京だが、各国でスパコンの開発競争と性能の向上が急速に進むなかで、およそ7年の歴史の幕を下ろした。
京は近く解体が始まり、同じ場所に後継のスパコン「富岳(ふがく)」が設置される。富岳は京の最大100倍以上という計算速度を目指しており、21年ごろに運用が始まる予定だ。
30日午後に京が設置されている理研の計算科学研究センターでセレモニーがあり、理研や官公庁、企業などの関係者ら約200人が出席した。理研の松本紘理事長は「たいへん使いやすい良いコンピューターだった。一抹のさみしさはあるが、富岳に精神を引き継ぎたい」とあいさつした。
京の開発元である富士通の時田隆仁社長も「様々な分野で多くの成果を創出できたことを誇りに思う。京は今も世界最高クラスの技術を誇っており、技術的アプローチが正しかった」と話した。後継機の富岳についても「富岳の生み出す成果が社会に多くのイノベーションを起こすと確信している」と述べた。
その後、多数の計算機の装置が並ぶ京の計算機室で、代表者4人の手によって電源のスイッチが順番に落とされ、出席者が見守るなか、午後3時25分ごろに計算機の発する機械音が鳴りやみ、機能を停止した。
京は1秒間に1京(京は1兆の1万倍)回もの計算をこなし、延べ1万人以上の研究者が医療、ものづくり、防災・減災、宇宙といった幅広い分野で研究開発に活用した。大学のほか、企業の利用も200社を超え、新素材や自動車・航空機の開発、創薬などに生かされた。研究者らによる京の利用は16日にすでに終えていた。
世界最速のスパコンを目指した京の開発には約1100億円の国費が投じられた。開発中の09年には当時の民主党政権下で、予算の無駄を洗い出す事業仕分けの場で「なぜ世界一を目指すのか、2位ではだめなのか」などと追及されたことでも注目を集めた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49210130Q9A830C1000000/
2019-08-30 07:34:00Z
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