4日の日本市場では債券が上昇した。前日の米国市場で製造業指数が市場予想を下回り、長期金利が低下した流れを引き継いだ。日本銀行による政策修正観測が強い中、10年国債入札を無難に通過したことも買い安心感につながり、長期金利は1週間ぶりの水準に低下した。
5月の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は活動の拡大と縮小の境目50を2カ月連続で下回り、3カ月ぶりの低水準となった。SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、米連邦準備制度理事会(FRB)の次のアクションは利下げという見方を補強したと指摘した。
金利低下が銀行や保険など金融株の重しとなり、株式相場は反落。外国為替市場では実需の円売りが一巡した後は、次第に米景気減速などを手掛かりとしたドル売り・円買いが優勢になった。
4日の日本市場の債券・株式・為替相場の動き |
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債券
債券相場は上昇。前日の米金利低下を受けて高く始まった後、日銀の政策修正観測から警戒されていた10年国債入札を無難に通過したことで買い安心感が広がり、先物はこの日の高値で取引を終えた。
10年債入札結果によると、最低落札価格は97円77銭と市場予想(97円75銭)を上回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は2銭と前回の5銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.66倍と、前回の3.15倍から上昇した。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、入札について「無難にこなせた。利回りが1.0%台後半まで上昇したことで評価されたほか、米金利が低下の流れに転じてきていることも追い風になったようだ」と指摘した。
日銀の植田和男総裁は参院財政金融委員会に出席し、日銀の見通しに沿って基調的物価上昇率が高まれば金融緩和度合いを調整していくと述べた。長期金利については金融市場で形成されることが基本だとした上で、「急激に上昇する場合には、市場における安定的な金利形成を促す観点から機動的にオペを実施する」との考えを示した。債券相場への影響は限定的だった。
新発国債利回り(午後3時時点)
先物 | 2年債 | 5年債 | 10年債 | 20年債 | 30年債 | 40年債 | |
143円51銭 | 0.380% | 0.600% | 1.030% | 1.860% | 2.220% | 2.400% | |
前日比 | 35銭高 | -2.0bp | -3.0bp | -3.0bp | -2.0bp | -2.5bp | -1.0bp |
株式
東京株式相場は反落。国内金利が低下し金融株が下落したことに加え、為替の円高推移や認証試験での不正判明を受けて自動車株も安かった。
トヨタ自動車が1.3%値下がりし、TOPIX下落に最も寄与した。供給過剰への懸念から原油先物相場の下げが続き、鉱業や石油関連株が下げたことも相場の重しだった。
一方、金利低下で割高感の薄れるグロース(成長)株は上昇。TOPIXを構成する2140銘柄のうち、上昇が1018銘柄、下落が1024銘柄と拮抗(きっこう)した。
IGオーストラリアの市場アナリスト、トニー・シカモア氏は、国債利回りの上昇や円相場の変動、日銀が今月の金融政策決定会合でタカ派姿勢を示すことへの警戒感が強いと指摘した。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=155円台後半に上昇し、2週間ぶりの高値を付けた。午前の仲値公示にかけて輸入企業など実需筋やリアルマネーのドル買い・円売りが優勢になる場面が見られたが、その後は米景気減速への懸念を背景にリスク回避の円買い・ドル売りが徐々に優勢になった。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは「月初2営業日目で新NISA(少額投資非課税制度)絡みのリアルマネーや、それに便乗した短期筋のドル買いが入ったのだろう」と指摘。もっとも、ドル安基調は変わっておらず、「米経済の変調の兆しが大きくなれば、もう少しドル安が進む」とみており、今週発表される米国の重要経済指標を見極める姿勢だ。
鈴木俊一財務相は午前、先月29日までの1カ月間に行った過去最大規模の円買い介入について「一定の効果があった」との認識を示したが、相場への影響は限定的だった。
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2024-06-04 05:14:21Z
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