経団連は5日、検査入院で5月下旬から休んでいる中西宏明会長(日立製作所会長)の療養が長引く見通しになったと発表した。リンパ腫であることがわかり、治療に専念するため。中西氏は「入院期間や復帰時期は治療の経過を見ながら判断する。一日も早く復帰できるよう治療に専念する」とのコメントを発表した。
経団連の久保田政一事務総長が同日、記者団に説明した。中西氏は都内の病院の検査で6月1日にリンパ腫だと分かり、6月3日に化学療法を始めた。悪性とみられる。担当の医師の説明によると1~2カ月間は入院で治療し、その後は通院で完治を目指すという。8月ごろまでは治療に専念し、復帰は秋になる見通しだ。
中西氏は5月初旬に体調不良を自覚し、21日に検査入院した。経団連は27日、中西氏が検査入院のため6月末まで休むと発表していた。今後、8月のお盆休み前までの予定はキャンセルする。経団連が7月に軽井沢で開く夏季フォーラムへの出欠だけは未定とした。
経団連の会長が長期にわたって休むのは初めてだ。経団連は会長不在時のルールを設けていない。会長代行は置かず、案件ごとに担当の副会長らが対応する。中西氏は2018年5月に経団連会長に就任した。
米国と日本の貿易交渉が続くなか、会長の不在は日本の経済界としての意見表明に影響が出そうだ。中西氏自身は4月末から5月初旬にかけて渡米し、米国の議会関係者らに面会している。5月20日の記者会見では「今日本の経済界から米国に直接意見を言うのはとても重要な活動だ」と語っていた。
政府の経済財政諮問会議や未来投資会議の議員も務めているが、当面は欠席する。意見は書面で提出する。
中西氏は日立では取締役会長兼執行役を務める。取締役は中西氏を含め11人いるため、中西氏が不在でも「定足数に問題はなく、取締役会の運営には影響はない」(日立)。執行役としては管掌する事業を持たないため、東原敏昭社長含め他の経営陣が職務を代行しているという。
7月にフランスで開かれる経済界版の主要7カ国会議(B7)にも中西氏が出席予定だったが、欠席する。副会長の小林健三菱商事会長と片野坂真哉ANAホールディングス社長、平野信行三菱UFJフィナンシャル・グループ会長が出席する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45716890V00C19A6EE8000/
2019-06-05 07:03:00Z
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