築かれた「田中帝国」
日本大学の田中英寿理事長が11月29日、ついに逮捕された。7月、附属病院建設を巡る一連の不祥事があっても、本人は記者会見も行わず、理事会さえも開かれなかったが、逮捕に至ってようやく本人が理事長辞任を申し出、12月1日の臨時理事会で承認された。もっとも、13年にわたって理事長を務めたことで支給されるはずの1億円を超える「慰労金」については、大学側は「保留」としている。
また3日、日大はホームページ上で、1日の臨時理事会で加藤直人学長を除く32人の理事が辞任したこと、起訴されている2件の背任事件について、2件とも被害届を提出することを明らかにした。さらに同日の定期理事会では、田中容疑者が辞任届の提出を拒否し、継続を希望していた理事職からも解任したという。 「田中容疑者は捜査関係者から『疑惑のデパート』と言われてきました」と語るのは、田中容疑者を取材していたジャーナリストだ。 「2005年には週刊文春がまだ常務理事だった田中容疑者と暴力団関係者とのつながりを報じ、その頃から日大が発注する工事に絡む謝礼を受け取っていたのではないかとも言われていました。それでも2008年、学内の選挙を制した田中容疑者が理事長に就任。理事長になると、理事を側近で固め、従わない幹部職員を次々と左遷して、まさに『田中帝国』を築いたのです」 その後も、田中容疑者の「金の問題」は絶えず浮上していたが、なぜかいつも「疑惑」止まりで終わってきた。 「2012年には月刊誌『FACTA』がこれを追及する連載を展開したのですが、発行元の『ファクタ出版』を日大が名誉毀損で訴え、ファクタ側が敗訴、140万円の支払いが命じられました。訴訟費用まで含めると300万円の負担になったといいます。それ以降、メディアの腰が引けましたね」
「お祝い」「ご挨拶」という名目
しかし今回、田中容疑者が逮捕された容疑は、これまで報じられたのと同様の金銭授受に絡んだ脱税だった。大手新聞の社会部デスクが語る。 「捜査の突破口となったのは7月、側近だった井ノ口忠男理事(その後辞任)と医療法人の藪本雅巳理事長(同)が背任容疑で逮捕されたことでした。病院建設工事に絡んで日本大学の資金を流出させたという容疑ですが、はじめからその資金が理事長に還流していると東京地検特捜部は見ていた。しかし、任意の聴取で田中容疑者が金銭授受を頑なに否定したため、背任ではなく所得税法違反(脱税)で逮捕したのです。藪本容疑者は理事長に7500万円渡したことを早くから認めていますし、日大の工事を受注していた建設会社は3000万円を渡したと報じられています。しかも、家宅捜索した田中容疑者の自宅からは1億円以上の現金が出てきたといいます」 今後、田中容疑者は容疑を認めるのだろうか。 「逮捕前に『俺を逮捕したら裏金の配り先をすべて明かす』と豪語していました。とにかく口を割らなければ有罪にならないと思っている節があります。というのも、資金提供もちゃんこ店を経営する妻が現金で受け取り、もちろん領収書もありませんし、理事長再任時などの『お祝い』や『ご挨拶』という名目で、足がつかないようにしていたからです」 田中容疑者が理事長になって13年。数々の疑惑が語られながら、なぜ、今まで逮捕されなかったのか。前出のジャーナリストが明かす。 「田中は警察幹部にも太いパイプを構築していました。日大出身者に警察官僚や警察の幹部が多いうえ、妻が経営するちゃんこ屋で警察幹部に飲食させていたともいいます。極め付きは日大が作った危機管理学部でしょう。ここの教授に警察官僚OBを迎え入れ、天下り先を提供してきました。最近は外務省や防衛省などのOBも教授になっています。これだけ恩を売ってあるのだから、俺を逮捕できるはずがない、と思っていたのでしょう。ですが、今回は特捜部が主導しているので、その“危機管理”は役に立たないと思います」
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2021-12-05 21:07:48Z
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