牛乳や乳製品の消費拡大に向け、コンビニエンスストアやスーパーが相次いで割引サービスを展開している。需要が落ち込む年末年始に、原料の生乳が大量に余って廃棄される懸念があるとの業界予測を受けて需要喚起の動きが広がった。大量廃棄の事態は回避できる可能性がでてきたが、それには足下の消費の勢いを維持する必要があり、綱渡りの年の瀬を迎えている。
コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンは1月5日までプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の牛乳1リットルサイズを税抜き価格から20円引きで販売する。
ファミリーマートは1月3日まで、「明治おいしい牛乳900ミリリットル」を30円値引き。さらに1月10日までの間は店内コーヒー「ファミマ カフェ」の購入者に、牛乳を使う「カフェラテ」Lサイズを30円値引きするクーポンを提供。これにより生乳使用量を前年同期比120トン増とすることを目指すという。
ローソンは12月31日と1月1日の2日間、店内コーヒー「マチカフェ」のメニュー「ホットミルク」を通常価格から半額の65円(消費税8%)で販売する。同社は新型コロナウイルス禍で一斉休校になり、学校給食の牛乳消費が一気に減った昨年3月も同じ取り組みを実施し、12日間で150万杯を売り上げた実績もある。
また、スーパーのイトーヨーカ堂は牛乳1リットルパックとハウス食品のデザート食品「フルーチェ」の同時購入で30円値引きする取り組みを1月3日まで展開。牛乳売り場には消費拡大を呼び掛ける広告も掲げている。
一方、乳業大手の明治も牛乳パッケージに牛乳を使う料理レシピを掲載したり、牛乳が体にいいことを伝える動画を公開。国産生乳100%のチーズを期間限定販売するなど需要喚起に躍起だ。
牛乳の消費を後押しする動きが小売り各社に広がったきっかけは、乳業メーカーや酪農家の業界団体「Jミルク」が、需給バランスが崩れることで年末年始に最悪で約5千トンの生乳が廃棄される可能性があるとの試算を公表したことだ。
乳業業界では、平成26年に起きた「バター不足」を契機に生乳増産へかじを切った効果や、今夏の天候が乳牛の体調にプラスに働いたことなどで生乳の生産量が増えた。これに対し、外食がコロナ禍で低迷し業務用のバターや脱脂粉乳の需要が減る中、年末年始は国内消費量の1割を占める学校給食が冬休みで無くなり、需要が大きく落ち込むため、生乳が大量に余る見通しとなった。
足下では、需要喚起策の広がりで需給バランスが改善。国内の牛乳の5割超を生産する北海道のホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は30日までに大量廃棄が回避できるめどが「立ちつつある」との見通しを示した。ただ、廃棄を回避するには、乳業メーカーの生産ラインがフル稼働することが前提で、「予断を許さない状況が続いている」という。(日野稚子)
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2021-12-30 07:15:19Z
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