柴田秀並、伊藤嘉孝
国土交通省が基幹統計の集計に使う建設業者の受注実績の調査票を書き換えていた問題で、同省が電子化して「永年保存」しているデータも、多くが書き換え後のものであることがわかった。書き換え前の正しいデータが行政側に残っていないことになる。政府は2013年から8年間続いていた「二重計上」の度合いや、GDP(国内総生産)への影響を検証する構えだが、ハードルは高い。
問題の統計は「建設工事受注動態統計」で、建設業者が公的機関や民間から受注した工事実績を集計する。書き換えていたのは、業者が受注実績を毎月記し、提出する調査票のデータ。同省は回収を担う都道府県の担当者に指示し、書き換え作業を行わせていた。回収後は、記入内容をOCR(光学式文字読み取り装置)で読み込み、電子データ化している。
この統計の調査規則は、電子データを「永年保存しなければならない」と定めている。だが、現在保存されている多くが、書き換え後の内容であるため、そこから書き換え前の正しいデータを把握することはできない。
書き換え作業を担っていた都道府県の現場にも、正しいデータは残っていないとみられる。現場では、正しいデータを消しゴムで消して、別の数字に書き換えていた。東日本の自治体の担当者は取材に「書き換える前の数字は控えておらず、さかのぼって知る方法はないと思う」と話した。
一方、電子データ化する前の紙の調査票は、保管期限である2年分は残っているものの、書き換えられていれば、そこから正しい数値を知るのは難しい。
データは「代わりのきかない公共財」
政府は今回の不正について…
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2021-12-18 08:00:00Z
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